贈与税が廃止?

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(一部、東洋経済7月31日号より抜粋しております。)

昨年12月に発表された、令和3年の税制改正大綱に、以下のような文が掲載されました。
「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直す。」
これにより贈与税が廃止、又は大幅に見直されるのではないかと言われています。

現状の贈与税の課税方法には「暦年贈与」と「相続時精算課税」の2種類あり、選択制となっています。
「暦年贈与」は、1月1日〜12月31日の1年間で、非課税枠110万円を超える贈与については、超える部分に贈与税を課す制度です。

「相続時精算課税」は、その方法を選択した年から、その選択した人からの贈与に限り、
一生涯で2,500万円までの財産の贈与を非課税とします。
ただし、その財産は相続税の計算の際に相続財産に含めて計算しなければなりません。

暦年贈与のメリットは、贈与すれば相続財産から外れること。デメリットは非課税枠が少額で、不動産などを動かしにくいことです。
そして相続時精算課税のメリット、デメリットはその逆になりますね。

さて、今後の税制改正でどのように変わるのでしょうか。

考えられるのは、暦年贈与を撤廃し、相続時精算課税に一本化されるのではないかと考えられます。
生前に贈与したものについては、すべて相続財産に含めて計算され、財産の移転が生前が死後かで変わることがないような制度になるのではないでしょうか。
アメリカが採用している「遺産税」がこのような構造になっています。

こうなると、これまでのように毎年コツコツと110万円以内で贈与するという相続税の節税対策が取れなくなります。

また、教育資金贈与の非課税や、住宅取得等資金の贈与の非課税も無くなるのではないかと考えられます。
なぜなら、これらはすべて富裕層を助けるための特例措置と言われているためです。
富裕層への課税強化を大幅に進めようとする意図が見てとれますね。
おそらく2022年〜23年辺りに贈与税の改正があるのではないかと予測されています。

2021年もあと3ヶ月となりました。
贈与を行うことやその方法によるメリット・デメリットを慎重に検討した上での
今年の非課税枠の活用をお勧めいたします。
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